1年弱ほどメルセデスAMG C43 4MATIC Coupeに乗っていました。
購入したのは2018年(平成30年)7月初度登録のC205型C43クーペ。367psの3.0L V6ツインターボを搭載する前期型の最終期にあたるモデルです。
後期型ではメーター周りを含めてデジタル化が進みますが、この車はまだアナログメーターを採用していた世代。そこも、あえてこの年式を選んだ理由のひとつでした。
ボディカラーはブラックで、パノラミックスライディングルーフとAMG RIDE CONTROLスポーツサスペンションを装備しています。
短い所有期間でしたが、街乗りから高速道路まで普段の車として使ってみると、短時間の試乗だけでは分からなかった良いところ、気になるところの両方が見えてきました。
そして結論から言ってしまうと、C43そのものは非常に良い車だったものの、最終的には自分が車に求めているものとは少し違うことに気づき、手放すことになりました。
今回は所有して分かったC43の乗り味や使い勝手、メンテナンス、そして短期間で手放すことになった理由までまとめてみます。
あえて前期型のC43を選んだ理由
それまで乗っていたA35では、車としての完成度や便利さには満足していたものの、個人的には少し「デジタルすぎる」と感じる部分がありました。
そこで次は、もう少しアナログ感の残っている世代に戻ってみようと考えました。
その意味でも、あえて選んだのが前期型のC43です。
私の車は2018年7月登録なので前期型としてはかなり最後の時期の車両ですが、メーターはまだアナログ式。
後期型のような全面的なデジタルメーターではなく、適度に新しい装備を備えながらも、少し前のメルセデスらしいアナログ感が残っています。
もうひとつ興味があったのが、FRベースのメルセデスです。
C43自体は4MATICなので四輪駆動ですが、A35とは成り立ちが違います。
メルセデスの快適装備やADASにはすっかり慣れてしまっていたので、その便利さを維持しながら、もう少し刺激のある車に乗りたい。
そんな条件からC43を選びました。
想定外だったCarPlay非対応
購入してから気づいた大きな誤算がCarPlayでした。
以前乗っていたCLAでは有料オプションによってCarPlayに対応できたため、この世代のCクラスでも同じようなものだと思っていました。
ところが私が購入したC43ではCarPlayが使えません。
今となってはCarPlayに慣れていることもあり、最初はかなり不便なのではと思ったのですが、なければないで意外となんとかなるものです。
最終的にはAmazonでCarPlay対応の後付けディスプレイを購入し、自分で取り付けました。
常時CarPlayを使っているわけではなかったので、必要なときだけ後付けディスプレイを利用するという使い方で、個人的には十分でした。
C43を実際に運転して感じたこと
C43に乗って最初に感じたのは、AクラスやCLAとはかなり違う「どっしり感」です。
軽快に動くというより、重量感を伴って落ち着いて走るタイプ。
もちろんアクセルを踏み込めばかなり速く、V6エンジンの音も十分に刺激的です。
走行モードによるキャラクターの違いも大きく、コンフォートで普通に走っている状態とSport、Sport+では明確に性格が変わります。
普段は快適に移動し、走りたいときにはモードを切り替える。
このあたりはAMGに期待していたとおりでした。
V6エンジンの音はC43の大きな魅力
個人的にC43で特に良かったと思う部分のひとつがエンジン音です。
C43はかなり速い車ですが、速さそのもの以上にV6エンジンの音が走っているときの気分を盛り上げてくれます。
意外だったのは静粛性。
Aクラスより上のCクラスなのだから当然こちらの方が静かだろうと思っていましたが、個人的にはAクラスの方が静かに感じました。
クーペということもあり、意図的にエンジン音を室内へ聞かせている部分もあるのかもしれません。
コンフォートモードでもそれなりにエンジン音が入ってきます。
とはいえ不快な騒音という意味ではなく、心地よいV6サウンドが常に少し聞こえているという感じです。
都内ではDCTよりトルコンATの方が好み
C43のトランスミッションはトルクコンバーター式の9速ATです。
A35などで使われるDCTとはフィーリングがかなり違います。
これは完全に好みですが、ストップ&ゴーが多い街中を日常的に走るのであれば、個人的にはDCTよりトルコンATの方が合っていると感じます。
低速域で扱いやすく、普段使いではこちらの方が好みでした。
ただし常に滑らかというわけでもなく、走り方によっては変速ショックやラグを感じることもあります。
良い車なのに、なぜ短期間で手放したのか
ここまで書いてきた内容だけを見ると、特に大きな不満があるようには見えないかもしれません。
実際、C43は良い車です。
速い、安定している、V6の音もいい。装備も充実しています。
それでも約10か月で手放すことになりました。
理由を一言で表現するなら、
「自分が楽しいと思う速度域と、この車が楽しい速度域が違った」
ということだと思います。
C43は踏めばとても速く、高速域での安定感もあります。
一方で、日本の一般道を普段使いするような速度でコーナーを走っていると、どうしても車の重さを感じてしまいます。
AやCLAにあった軽快さとはかなり違います。
もちろん、そのどっしりした走りこそC43の良さだと思う人もいるでしょう。
ここは完全に好みです。
ただ自分の場合、「速く走れること」よりも「普通の速度でも楽しいこと」の方が重要だったようです。
C43が得意な速度域と日本の道路環境
乗ってみて感じたのは、C43が本当に気持ちよく走れる速度レンジは、日本で日常的に使える速度レンジよりも少し上なのではないか、ということでした。
パワーが足りないと感じることなど当然ありません。
むしろ余裕がありすぎます。
その余裕や安定感が高速道路では非常に心強い反面、普段の街乗りでは車の能力をほとんど使いません。
個人的には、Cクラスを日常の移動に使うことを最優先するのであれば、AMGではないモデルの方が満足できた可能性もあります。
……とはいえ、そうしたら今度は「音が物足りない」などと言い始める気もしますが。
購入前には当然試乗もしました。
それでも短時間の試乗では「速い」「音がいい」「安定している」といった分かりやすい魅力の方が強く印象に残ります。
日常的な速度で何か月も乗ったときに自分がどう感じるのかまでは、試乗だけでは分かりませんでした。
C43で気になった細かなポイント
車を購入するとき、良いところ以上に気になるのがネガティブな情報だったりします。
100%満足できる車はないと思っていますが、短期間ですが所有して気になったポイントについても残しておきます。
右ハンドルだとサスペンションのスイッチが見づらい
センターコンソール周辺は、左ハンドルを基本として設計されているのかな、と感じる部分があります。
私の車にはAMG RIDE CONTROLスポーツサスペンションが装備されていましたが、その操作スイッチはセンターコンソールの左側。
右ハンドルの運転席からだと、現在どの段階に設定されているのか少し確認しづらい位置にあります。
大きな問題ではありませんが、日常的に使っていると気になるポイントでした。
A35とはドライブセレクトレバーの操作が逆
これは完全に慣れの問題ですが、A35から乗り換えた直後に戸惑ったのがドライブセレクトレバーです。
操作方向がA35と逆だったため、最初のうちは頭で考えてから操作する必要がありました。
しばらく乗れば当然慣れます。
フルステア付近ではフロントタイヤを引きずる感覚がある
もうひとつ気になったのが、ステアリングを大きく切った状態でトルクをかけた際の挙動です。
フロントタイヤを横方向に引きずるような感覚があり、狭い場所での車庫入れやUターンでは少し気を使います。
特にタイヤへの負担は気になるため、ステアリングをいっぱいまで切った状態で無理に動かさないよう意識していました。
機械式駐車場では純正警報装置に注意
純正の警報装置が付いている車両では、エンジンを始動するたびに警報装置がONになります。
機械式駐車場を利用する際には忘れずに解除する必要があります。
私は一度だけ解除を忘れました。
その結果、機械式駐車場からC43が上がってくると同時に警報がけたたましく鳴り響くという、かなり恥ずかしい経験をしています。
それ以来、機械式駐車場へ入れるときには必ず確認するようになりました。
パノラミックスライディングルーフからパタパタ音
細かなトラブルとしては、パノラミックスライディングルーフ付近から「パタパタ」という音が出ることがありました。
故障というほどのものではありませんでしたが、走行中に聞こえてくると結構気になります。
私の場合はゴム部分にシリコンスプレーを使用することで対処していました。
完全な修理というよりは対症療法ですが、気になったときに施工することで対応できていました。
短期所有だったのでリセールは厳しかった
短期間での売却だったため、当然ながらリセールという意味では良い結果ではありませんでした。
これはC43だからというより、短期間で中古車を購入して再び売却する以上、ある程度仕方のないことです。
購入価格や売却価格については今回は公開しませんが、短期で乗り換えるのは経済的にはおすすめできません。
それでも乗り換えることにしたのは、それだけ自分が次の車に求めるものが明確になったからでもあります。
C43に乗って分かった、自分が車に求めているもの
C43を所有したことで、一番大きかった収穫はこれかもしれません。
自分が車に求めているのは、絶対的な速さではありませんでした。
普通の道を普通の速度で走っていても楽しいこと。
こちらの方が自分にとっては重要でした。
C43には十分すぎるほどのパワーがあります。
V6の音もいいですし、高速道路での安定感も高く、装備も充実しています。
「速くて快適なクーペ」という意味では非常によくできた車だと思います。
ただ、自分が欲しかったのはもう少し軽快で、低い速度から車を動かしていること自体を楽しめる感覚でした。
これはスペック表を比較していてもなかなか分かりません。
実際に所有して日常的に使ったからこそ分かったことでした。
C43は悪い車だったのか?
ここまで「自分には合わなかった」という話をかなり書いてきましたが、C43を否定するつもりはまったくありません。
むしろC43が得意とする部分と、自分が車に求めるものが一致しなかった、という方が正確です。
V6エンジンの音が楽しめて、十分以上のパワーがあり、普段は快適。
さらに高速道路では非常に安定している。
そういう一台で何でもこなせる高性能なクーペを求めているのであれば、魅力的な選択肢だと思います。
特にこの世代は現在のAMGとはまた違ったキャラクターを持っており、V6エンジンを搭載するC43という点にも魅力があります。
一方で、自分のように絶対的な速さより軽快感や「普通に走っているだけで楽しい」という感覚を重視する人の場合、購入前には少し長めに試乗してみた方がいいかもしれません。
まとめ:短期間でも乗ってみてよかった
結果的に1年弱で手放すことになりましたが、C43を買ったこと自体を後悔しているわけではありません。
むしろ一度所有したことで、自分が車に求めているものがかなり明確になりました。
速い車が楽しいとは限らない。
スペックが高い車が、自分にとって良い車とも限らない。
当たり前のことなのですが、実際に所有してみるとよく分かります。
次の車ではC43ほどのハイパワーは求めませんでした。
その代わり、もっと「走ることそのものを楽しめる車」という方向で選んでいます。
次の車については、入れ替えが完了してからあらためて紹介したいと思います。